3.尿路結石
尿路結石は有史以前から存在する疾患で、数千年前の古墳から膀胱結石が認められたり、近代では、フランス皇帝ナポレオンIIIが経尿道的膀胱砕石術を受け、尿毒症による昏睡で死亡という史実もあります。しかし、19世紀末までは膀胱結石が大部分だったのに、20世紀に入ると腎尿管結石患者が急激に増加しています。この点は、生活水準の上昇、食生活の変化など先進工業国の出現と時を同じくしており、現在でも、開発途上国では、膀胱結石が多い地域もあります。尿路結石の原因は尿の過飽和などいろいろありますが、最近は、シュウ酸カルシウム結石に関しては逆にカルシウム摂取量が少ないと形成されやすいと言われており、カルシウム摂取量が多い欧米人には発生頻度が低くなっています。尿石の症状は独特な仙痛や血尿などを呈し、腹部膨満や嘔気、嘔吐も出現します。腺痛は尿石が尿管に下降してくると、その痛む場所も移動することが多く、痛みの原因は急激に尿流が妨げられ、腎盂の過度の急性拡張、腎内緊張により生じるもので、石が動くから痛いのではありません。ですから、痛み止めを使用しても、尿管の緊張が緩み、尿管閉塞が解除され、少しでも腎の腫れが引かないとなかなか痛みが取れないことが多いです。
現在尿石の治療は、体外衝撃波による破砕術が第一選択で行われ、内視鏡手術が補助的に施行されます。