薬剤部について
薬剤部は、医薬品の適正使用や管理を担うだけではなく、患者様により安全かつ適切な薬物治療を提供するために活動しています。現在(2021年4月)、薬剤師19名と薬剤助手6名で日々の業務に取り組んでいます。
業務内容
- 調剤業務
調剤室では、主に入院患者様への内服薬の調剤や飲み合わせの確認を行っています。当院では、安全性を重視した調剤支援システムを導入しており、正確な調剤業務に努めています。
- 薬品管理業務
薬品を安全に使用するための品質安全管理(保管条件・期限など)や、薬品の発注・受注業務、医薬品を各部署に払い出す供給業務を行っています。また、血液製剤のロット管理や重要医薬品の管理など様々な事項に細心の注意を払っています。
- 注射調剤業務
当院では、医療安全面から自動注射薬払出装置を導入しており、患者様の注射を1施用単位ごとに調剤します。またバーコードラベルも発行され、病棟で患者様の注射薬の内容を確認して、投与できるシステムを採用しています。これらの導入により注射調剤業務は、医療の安全に大きく貢献しています。
- 無菌調製調剤業務
抗悪性腫瘍注射剤やTPN(中心静脈高カロリ-輸液)の調製を中心に行っています。処方内容(注射薬品の用法・用量、配合変化、投与経路、点滴速度、投与間隔など)について確認しています。また、細菌汚染を防止するため無菌室内(安全キャビネットやクリ-ンベンチ)で混合調製を行っています。特に抗がん剤についてはシステムを用いて過量投与などのミスが起こらないようにしており、事前に2名の薬剤師が医師のオーダー内容をチェックしています。
- 薬品情報管理業務
厚生労働省や製薬会社などから医薬品の最新情報を収集し、管理しています。患者様に安全かつ効果的な医療を提供するために、DIニュースという形で収集した情報を医師や看護師などの各医療従事者に向けて発信しています。
- 院内製剤調製業務
院内製剤とは、診察や治療に有用であっても市販品がない特殊な薬品などを指します。患者様にとって必要なものは、医師の要望に合わせて安全性や有効性を検討したうえで院内製剤として調製しており、軟膏や坐薬、点眼薬、水薬などがあります。
- 薬剤指導管理業務
医師や看護師をはじめとする医療従事者と連携して、患者様により良い医療を提供できるよう努めています。
・医薬品の正しい使用方法や防止のための重複、飲み 合わせの確認
・副作用の発現防止と早期発見
・安心してお薬を服用してもらえるよう丁寧な服薬指導と不安、疑問の解消
以上を主な業務として各病棟に専任薬剤師を配置しています。
認定薬剤師・専門薬剤師 等
当院では、積極的に認定薬剤師・専門薬剤師の育成を行っており、現在(2021年4月)、以下の資格を取得しています。
認定 |
人数 |
日病薬病院薬学認定薬剤師 |
9名 |
日本病院薬剤師会 研修修了CRC(クリニカルリサーチコーディネーター) |
5名 |
日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師 |
4名 |
栄養サポートチーム(NST)専門薬剤師 |
3名 |
感染制御認定薬剤師 |
2名 |
がん薬物療法認定薬剤師 |
2名 |
外来がん治療専門薬剤師 |
1名 |
介護支援専門員 |
1名 |
緩和薬物療法認定薬剤師 |
1名 |
日本リウマチ財団リウマチ登録薬剤師 |
1名 |
所属学会 |
人数 |
日本病院薬剤師会 |
18名 |
日本薬剤師会 |
18名 |
日本臨床腫瘍薬学会 |
4名 |
日本医療薬学会 |
6名 |
日本環境感染学会 |
2名 |
腎臓病薬物療法学会 |
2名 |
日本緩和医療学会 |
2名 |
日本緩和医療薬学会 |
1名 |
日本臨床栄養代謝学会 |
1名 |
日本化学療法学会 |
1名 |
日本くすりと糖尿病学会 |
1名 |
チーム医療への参画
チーム医療は、医師、看護師、薬剤師をはじめ様々な職種がそれぞれの職能を活かし、患者様によりふさわしい医療を提供できるよう努めています。
以下に、現在活動しているチームをご紹介します。
感染制御チーム(ICT)
患者様や職員の安全を守るため、専門的な知識に基づいて医療関連感染を予防するため活動しています。薬剤師は、主に消毒剤や抗生物質の適正使用についての提言をしています。
緩和ケアチーム(PCT)
生命を脅かす疾患に伴う問題に直面している患者様やそのご家族の精神的且つ身体的な苦痛を和らげ、できるだけ快適な生活を送ることが出来るよう支援する活動をしています。薬剤師は主に、痛みの評価を基にオピオイド(麻薬)をはじめとする鎮痛剤の選択などの提言をしています。
栄養サポートチーム(NST)
患者様の嚥下機能を評価し、適切な摂取機能療法の実施を目的に活動しています。その中で薬剤師は、患者様の投与可能なルートに適した栄養剤の選択などの提言をしています。
褥瘡対策チーム(PUT)
褥瘡保有者に対する治療や評価を行い、褥瘡発生予防・早期治癒を目指して活動しています。褥瘡は、主に塗り薬での治療になります。薬剤師は様々な種類の塗り薬の特徴を理解し、褥瘡の程度や段階によって適切な塗り薬の提言をしています。
薬剤部安全対策システム
薬剤部では、平成18年10月の病院移転新築に合わせて患者様の医療安全を重視した薬剤部システムを目指し、種々の安全対策システムを構築・導入しました。これらにより、従来できなかったシステムでのチェックが可能となり、患者様安全・医療安全により大きく貢献できるものとなっています。平成26年4月の電子カルテ更新時には、さらに安全対策システムが進化し、より安全性の高い医療を提供できるようになりました。薬剤部で構築した医療安全対策システムは以下のようなシステムがあります。これらを用いて、院内すべての薬品について患者様の安心・安全に努めてまいります。
内服薬調剤 |
錠剤・散ヒート・外用他 |
調剤過誤防止システム |
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錠剤の一包化 |
システムによる自動化、印字化、 |
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バラ錠充填(錠剤分包機) |
調剤過誤防止システム |
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散秤量薬・水薬 |
散薬・水薬監査システム |
|
散薬の分包 |
システムによる自動化、印字化 |
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薬袋 |
特殊用法・特殊薬剤のカラー印刷、薬袋上部印刷による入院配薬の過誤対策、投薬確認用表印刷の検討等 |
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持参薬 |
持参薬の鑑別補助システム |
注射調剤 |
定時・臨時注射 |
アンプルピッカーによる1回施用分ごと袋詰め調剤、バーコード印刷 |
無菌製剤 |
抗がん剤(外来・入院) |
レジメンチェック・オーダーシステムの確立 |
|
TPN製剤 |
PDA使用による患者及び施用認証の実施 |
実習生の方、見学を希望される方へ
当院では、次世代を担う薬剤師を育てるため、実習生を積極的に受け入れています。現在はコロナウイルスの影響で実習内容が例年とは一部異なりますが、一例を下記に提示します。
実務実習スケジュール 例 |
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月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
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1週目 |
AM |
オリエン |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
|
PM |
院内見学 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
||
調剤 |
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2週目 |
AM |
注射調剤 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
|
無菌調製 |
|||||||
オリエン |
|||||||
PM |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
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製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
|||
DI |
DI |
DI |
DI |
DI |
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3週目 |
AM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
|
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
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PM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
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内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
内科 泌尿器科 |
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4週目 |
AM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
|
歯科 |
循環器 |
循環器 |
循環器 |
循環器 |
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PM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病 |
病棟業務 |
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外科 |
循環器 |
循環器 |
循環器 |
循環器 |
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5週目 |
AM |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
|
PM |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
||
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
|||
DI |
DI ・ |
DI |
DI |
DI |
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6週目 |
AM |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
|
PM |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
||
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
|||
DI |
DI |
DI |
DI |
DI |
|||
7週目 |
AM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
|
消化器 |
消化器 |
消化器 |
消化器 |
歯科 |
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PM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
||
消化器 |
消化器 |
消化器 |
消化器 |
内科 |
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8週目 |
AM |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
無菌調製 |
|
PM |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
注射調剤 |
||
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
製剤 |
|||
DI |
DI |
DI |
DI |
DI |
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9週目 |
AM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
|
内科 |
眼科 |
歯科 |
外科 |
眼科 |
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PM |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
病棟業務 |
||
外科 |
小児科 |
外科 |
外科 |
外科 |
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10週目 |
AM |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
|
PM |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
調剤 |
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地域連携 |
検査科 |
NST回診 |
|||||
11週目 |
AM |
病棟業務 |
病棟業務 |
希望・補充枠 |
希望・補充枠 |
希望・補充枠 |
|
小児科 |
内科 産婦人科 |
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PM |
病棟業務 |
病棟業務 |
希望・補充枠 |
希望・補充枠 |
報告会 |
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外科 呼吸器 |
PCT委員会 |
リハビリ |
総まとめ |
疑義照会簡素化プロトコールについて
薬物治療管理の一環として、調剤上の典型的な変更に伴う疑義照会を減らし、患者さんへの薬学的ケアの充実および処方医や看護師、保険薬局の負担軽減を図る目的で「院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコール」の運用を2024年7月より開始しました。
本プロトコールの運用にあたっては、当院と苫小牧薬剤師会が2024年6月に合意書を交わしているため、苫小牧薬剤師会に所属している調剤薬局の薬剤師は、プロトコールの趣旨や各項目の詳細について理解し各医薬品の保険適応、および用法用量を遵守し安全性や溶解性、 体内動態等を考慮した上で、患者に服用方法・安定性、価格等について十分な説明を行い、同意を得た場合に限り、疑義照会を省略して変更することができます。
疑義照会簡素化プロトコール(199.11 KB)について
疑義照会簡素化プロトコール 処方修正報告書(121.22 KB) (トレーシングレポート)先輩先輩薬剤師からのメッセージ
佐藤 正幸 北海道医療大学 2004年卒
当院薬剤部は薬剤師19名、助手6名が在籍しており、患者様へ安心で安全な医療の提供ができるよう、チーム医療の一員として活動しています。各々が少なくとも1つの専門資格取得を目指し、知識を共有しながら、信頼される医療人として成長できる職場を目指して日々努力しています。また、私は管理職の立場ですが、30代、20代の若手の良好なワークライフバランスを実現するための環境整備も進めており、最近では男性の育児休暇取得者も3人となっています。当院は苫小牧市の中央部に位置し、札幌まで電車で1時間、千歳空港まで電車で30分と利便性が高い立地です。病院から高速道路のインターチェンジも車で5分という便利な立地にあります。興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。
渡邉 瞳 北海道医療大学 2000年卒
私は札幌出身で、30代前半で憧れの総合病院であるこの病院に中途採用で入りました。
薬剤部では、10代から50代まで幅広い年齢層の仲間がおり、その多様性が学びの場となっています。また医師、看護師だけでなく、放射線技術科・臨床検査科・リハビリテーション科などの医療技術職グループとのつながりもあり、さまざまな仲間と出会えます。
現在は小さな子供を育てながら、時短勤務を利用して仕事と育児を両立しています。
チーム全体で協力し、残業を少なくすることで、ウェルビーイングな働き方を実現しています。また、苫小牧は道路が広く渋滞は少なく広い空が広がり運転は快適です。
休日には苫小牧に幾つかあるスケート場や図書館と児童館とカフェが併設されたコミュニティセンターに出かけ、混雑もなくゆったりと楽しんでいます。家族で苫小牧の暮らしを満喫しています。是非一度、苫小牧に訪れてみてください。
上野哲史 北海道科学大学 2015年卒
薬剤師としてのキャリアを当院でスタートし、各部署での経験を積んできました。現在は注射管理室・無菌調製室・DI室の業務を行っています。病棟担当時代に比べ、患者との接点は少なくなりましたが、多岐にわたる業務内容に、より大きなやりがいを感じています。他職種との連携では、ICT(感染制御チーム)およびAST(抗菌薬適正使用支援チーム)のメンバーとして活動しています。当薬剤部は資格取得を費用面や休暇面で支援し(年度による違いはありますが)、職員のスキルアップを後押ししています。また、子育て支援も充実しており、育児休業はもちろん、配偶者の出産に伴う休暇や子どもの看病のための休暇など、父親・母親関係なく取得しています。具体的な話をお聞きになりたい方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
細川喜寛 北海道医療大学 2016年卒
現在は主に病棟業務を担当しています。この業務には幅広い知識が必要で、時には大変なこともありますが、直接患者さんと接することでやりがいを感じています。チーム全体で協力し、業務負担を分散させるために努力しています。病棟の編成は半年から1年ごとに行われ、異なる診療科の疾患に関する学びや経験を得ることができます。新人の方々は2年目以降から病棟での研修が始まります。また、資格取得に必要な学会や研修への参加はサポートされており、私自身もそれに積極的に取り組んでいます。休暇取得もしやすく、第一子の誕生時には2か月の育児休暇を取得し、家族との貴重な時間を過ごすことができました。働きやすい環境で、わからないことや休暇・資格取得に関する相談もしやすいです。興味がある方はぜひ見学にお越しください。
森江彩華 北海道科学大学 2020年卒
私はこの病院の職場の良い雰囲気が、就職の最大の理由です。和やかで誰とでも話しやすい環境で、何かわからないことがあっても先輩薬剤師が親切に教えてくれるため、安心して業務に取り組むことができます。感染症やがんなどの各分野に詳しい薬剤師が揃っているため、頼りになる存在です。また、福利厚生も充実しており、休暇取得もしやすいのが魅力です。私は内服・注射調剤や無菌調製、DI業務などを経験し、現在は主に病棟業務を担当しています。病棟業務は一定期間ごとにローテーションして担当するため、さまざまな科について学ぶことができ、幅広い知識を身に付けることができます。経験不足で先輩に教わることも多いですが、医療スタッフや患者さんから信頼される薬剤師になるよう努めています。文章だけでは伝わりきらないこともありますので、ぜひ一度見学に来ていただければと思います。
薬剤部の見学をご希望の方は、下記のいずれかのアドレスにメール、または電話にてご連絡ください。
薬剤部長 阪本 e.sakamoto●tomakomai-city-hospital.com
渡邉 瞳 h.watanabe●tomakomai-city-hospital.com
※●は@に置き換えてください。
Tel:0144-33-3131