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泌尿器科の扱う病気(1)

1.排尿機能障害

前立腺肥大症

前立腺は男性の生殖器官の一部で、位置は膀胱の下に尿道を取り巻くようにあります。重さは成人男性で約20g程度となり、形や大きさは栗の実とよく似ています。前立腺は妊娠10~12週で胎児に発生し、生まれたときには約1gの重さです。その後加齢と共に重量を増し、思春期で約20gとなり定常状態となり、50才代を過ぎると人によって再び増加します。
前立腺の働きはというと、まず、精液の一部である前立腺液を作り分泌します。射精時に精嚢液と前立腺液を一緒に尿道に放出するとき、前立腺は収縮し、膀胱側への逆流を防ぎます。前立腺肥大症とは前立腺の肥大による機械的閉塞で尿道が圧迫され、一方交感神経刺激による前立腺・前立腺部尿道平滑筋の収縮によって尿道抵抗が亢進した機能的閉塞の結果、排尿困難、夜間頻尿、尿失禁や尿閉状態などの多彩な排尿障害を引き起こす疾患です。肥大症の診断と検査は国際前立腺症状スコア(IPSS)での評価があります。

神経因性膀胱

排尿機構を統括コントロールする中枢および末梢神経の障害により出現する排尿異常を神経因性膀胱と言います。排尿異常としては、尿排出障害(尿閉、排尿困難、腹圧排尿、尿意減弱)、蓄尿障害 (頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁、夜間頻尿)があり、随伴症状として意識や知能障害、運動障害、知覚障害、排便障害、性機能障害などがあります。これらの症状の有無を問診から、情報を得て、さまざまな検査で病態を把握し治療に活用していきます。

神経因性膀胱をきたす主な疾患としては、
  • 脳の疾患:痴呆、脳血管障害、パーキンソン病、脳腫瘍、多発性硬化症、脳外傷、脳炎など
  • 脊髄の疾患:脊髄損傷、脊髄腫瘍、頚椎症、脊髄血管障害、二分脊椎、脊髄髄膜瘤、Tethered cord syndromeなど
  • 末梢神経の疾患:骨盤腔内手術、糖尿病、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄ギラン・バレー症候群、帯状疱疹による末梢神経炎など
  • その他:薬物性排尿障害、心因性尿閉、夜尿症
などがあげられます。

尿失禁

尿失禁には、大きく分けて、腹圧性と切迫性および両者の混合型に大別されます。

代表的な前者について説明します。

腹圧性尿失禁

おなかに力が加わったとき、例えば咳をしたり、重いものを持ったり、急に立ち上がったりしたときに尿が漏れてしまう現象です。女性の方では妊娠したときなども膀胱が妊娠子宮に圧迫されやすく、尿が漏れた経験をお持ち方も多いと思います。筋力が落ちて膀胱や尿道が下がりやすくなってくると腹圧が加わったとき、尿失禁が起こりやすくなります。男性の場合でも、腹圧がかかったとき尿失禁することがあります。
ここでは、女性の尿失禁の病態・治療について説明します。
女性では、比較的若い年代から尿失禁の頻度が高くなっています(30歳代以降20~50%)。この原因は下部尿路の解剖の男女差および出産などが関与するためです。失禁のタイプを見極め、適切な治療法を選択することが重要です。症状は、腹圧が加わるときに起こります。膀胱に尿の溜まった状態で咳をするストレステストや尿失禁定量テスト(Pad test)をしたり、尿流量検査(尿の出ぐあいを見る)、そしてチェーン使用膀胱尿道造影などで病態を把握し、重傷度を判定し治療します。治療法は骨盤底筋訓練、薬物療法、手術療法です。
当科の目安は以下のとおりです。
1) 尿失禁定量テストが10g未満のとき
保存的治療(骨盤底筋訓練および薬物療法の併用)患者様の満足が得られない場合は手術
2) 尿失禁定量テストが10g以上のとき
患者様の希望があれば最初から手術:最近はTVT(Tension-Free-Vaginal tape)手術が多く施行されています。また、膀胱下垂、子宮下垂があれば膣前壁縫縮術や膣式子宮単純摘出術を併用します。
  1. 排尿機能障害…前立腺肥大症-神経因性膀胱-尿失禁
  2. 腫瘍性病変…膀胱癌-前立腺癌-腎細胞癌-睾丸腫瘍-その他
  3. 尿路結石…ESWLおよび内視鏡手術
  4. 腎臓疾患…腎実質病変-腎血管性病変-腎不全
  5. その他…尿路感染症-小児泌尿器科-その他

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