患者を支える「看護」の現場(3)
取材:2026/5月
前編では当院の育児短時間制度、子ども介護休暇制度と、実際の仕事や生活の様子を語っていただきました。後編は復帰してから気付いた様々な発見について語っていただきます。
―仕事に戻ったときは新鮮な感覚がありましたか
B:3年間育休を取らせてもらいましたが、ずっと子どもと2人でいると息が詰まってしまうこともありました。でも働いてみると、社会とのつながりや、自分が役に立っている実感があります。患者さんの笑顔を見た時や、お給料をもらった時に、「働いてよかった」とすごく思いました。もっと早く戻ってくればよかったと思いました。
A:仕事をしている時間は、自分主体で動ける感覚があります。それがストレス発散にもなっていて、自分のバランスを取れていると思います。
―リズムが良くなることもありますか
A:そうですね。家にずっといるより、仕事と家庭を切り替えながら生活する方が、自分の中ではうまく回っている感じがあります。
B:家にいるより、こっちの方が楽というか、切り替えができる感じがあります。
A:私も、仕事は仕事、家は家で切り替えができて、うまく回っていると思います。

―仕事と家庭のスキルには共通点がありますか
A:ありますね。優先順位を考えることは、子育てにも大きく関係していると思います。
B:私もそう思います。まず洗濯物を回して、その間に食器を洗って、水筒を洗って、ご飯の支度をして、子どもを遊ばせながら声をかけて、洗濯物を干して、ご飯を食べて、お風呂に入って、布団に入る。こういう流れをちゃんと効率よく回すのは、仕事のスキルと似ていますよ。病院でも、時間内にやらなきゃいけないことは何だろうって、順序や時間配分を考えながら動いていますから、一緒です。
―例えば今朝の仕事の様子はどうでしたか
B:今朝は予定では最初に患者さんの処置を順番に回りたかったのですが、脳外科の患者さんのドレーンを抜く処置が急に入ったので、まずそれを優先しました。その後、患者さんの部屋を回って状態確認したのですが、それもまた優先順位を考えながら動いていましたよ。
―脳外科は急な仕事が多いでしょうね
A:そういうのが当たり前なので、その時点でまた考えて、「次は何をやろうかな」と組み立て直しています。
B:ルーティンは崩れますけど、また立て直せるように考えて仕事していますね。子育てが予定通りにいかないのと一緒です。
―子育て経験が活きているんですね
B:そうですね。子育てから学ぶことが大きいかもしれません。

―仕事は連携プレーもありますよね
B:周りの動きを見ながら声をかけて、「今ドレーンを抜くので、ちょっと処置抜けます」と他の看護師に伝えたりしています。チームとして、効率よく動けるように意識していますよ。
―子育て経験で仕事の効率が上がるのですね
B:逆かもしれないです。仕事の経験が子育てに生きているのかもしれません。15時までの勤務なので、優先順位を考えながら行動する力が身につきました。そのせいか、家庭でも以前だったら目についたことからやっていたかもしれませんが、今は効率を考えて動いています。
―患者さんへの接し方も変わりましたか
B:患者さんや家族の気持ちに以前より寄り添って考えられるようになったと思います。子育て経験は、看護師としても人としても成長につながっていると思います。
A:子育てを経験して、患者さん本人だけではなく、ご家族の不安や負担にも以前より共感できるようになりました。患者さんの生活背景や家族状況を考えながら関わることを意識するようになり、短い関わりの中でも安心してもらえるような声かけを大切にしています。

―後輩の指導も上手にしていましたね
A:私がプリセプターをやっていた頃は、自分に余裕がなくて、ただ教えるだけで精一杯でした。今は子育てを経験して、プリセプティの気持ちに寄り添えるようになったと思います。
―どんな声かけを意識していますか
B:褒めることをすごく意識しています。「できましたね」「大丈夫ですよ」「完璧です」と、自己肯定感が上がるような声かけを意識しています。
―子育てとの相乗効果ってあるんですね
B:今こうやって話していて、すごく腑に落ちました。

―独身時代の想像とは違いましたか
A:まず、子育てがこんなに大変だとは思っていませんでした。
B:子どもがいない時の私は、勤務中に電話がかかってきて帰る方がいると、「その分、負担が増えるな」と思っていたこともありました。ところが今は、そういうことを感じさせない雰囲気を作ってくれています。こんな恵まれた環境は想像していませんでした。みなさんの配慮にとても感謝しています。
A:時短制度がちゃんと機能しているので、私もこんなに働きやすい環境はなかなかないと思います。
―後輩にどんな姿を見せていきたいですか
B:後輩たちが「結婚、出産したくない」と思うような姿は見せたくないと思っているんです。だから、できるだけ明るく、なるべく「疲れた」と言わないようにしています。時間内でやれることを精一杯やって、みんなの負担を少しでも減らせるように晴れやかに頑張っている姿を見せたいです。
A:私も家庭と仕事を両立しながら、充実した看護師をやっている姿を後輩に見せられたらいいなと思います。

―最後に後輩看護師へメッセージをお願いします
B:子育てと看護師の両立は難しく、自分の体力や家族への負担も大きいですし、子どもに寂しい思いをさせていることもあると思います。でも、時短勤務制度や職場の理解があり、育児環境が整っています。自分が働きやすい状況を作っていただけるように相談しながら、長く看護師を続けてほしいと思います。

