高度医療を支える検査の現場(1)
取 材:2026/2月
-本日はよろしくお願いいたします。臨床検査科の技師長として、現在担われている役割についてお聞かせいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。私は現在、生理検査、検体検査、病理検査、輸血検査、細菌検査という5つの部門を統括しています。各部門とも、医師が診断や治療方針を決定する際の「根拠」となるデータを提供する、高度医療において欠かすことのできない存在です。
-具体的には、日々どのような検査が行われているのでしょうか。
例えば、血液検査などを扱う「検体検査部門」には、1日約300~400件ほどの検体が届けられます。血糖値やコレステロール値といった基本的な項目から、感染症による炎症を示すCRPの数値、さらには感染症や膠原病の抗体に至るまで、多岐にわたる分析を行います。当院に常駐している検査専門会社の方々と連携しながら、迅速かつ正確に数値データを提供しています。
- 1日にそれほどの数を処理されるのですね。外来の患者さんにとっては、待ち時間にも直結する重要な業務です。
おっしゃる通りです。我々には「スピード」と「正確さ」という、非常に高いレベルのパフォーマンスが求められています。現在は機械化が進んでいる分野もありますが、それでもすべての検査で自動判定が出来るわけではありません。たとえば、我々技師が顕微鏡にて細胞の形態を自分たちの目で確認し、がん細胞などを見つけ出す「細胞診検査」も行っています。また生理検査では、技師が直接患者さんに接しながら検査を行っており、その中には超音波を体にあてて臓器の異常などを見つける「エコー検査」などもあります。最新のテクノロジーを駆使しながらも、最終的な決断には「人の知識と経験」がモノを言う、非常に奥深い世界なのです。
-新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった際も、臨床検査技師の皆様の存在は非常に大きかったのではないでしょうか。
ええ。我々はまさに「医療の裏方」として奮闘しました。多い日は50件以上のPCR検体を分析しましたが、当初は夜遅くまでかかっていた作業も、検査装置の性能向上に伴い徐々にスピードアップしていきました。医療技術の目覚ましい進歩を、肌で感じることができるのもこの職場の醍醐味の一つです。
-「臨床検査技師=検査室で黙々と作業をしている」というイメージを持つ方も少なくないようです。実際のところはいかがでしょうか。
かつてはそうした側面もあったかもしれませんが、今は全く違います。これからの時代は「自ら発信する検査技師」であることが求められます。例えば、私の専門である細菌検査では、血液や尿などから原因菌を特定し、有効な抗生剤を判定します。細菌の培養にはどうしても日数がかかりますが、現場の感染症治療は「時間との戦い」です。
-そんな場合は、どのように対応されているのでしょうか。
最終的な結果が出る前であっても、途中経過がわかった時点で迅速に医師へフィードバックを行います。時には自ら電話をかけ、直接状況を伝えることもあります。受け身ではなく、積極的に情報発信を行うことで患者さんの治療に貢献することが、私たちの大きな使命です。
-現場の医師にとっても、これほど心強い存在はありませんね。
さらに現在は、検査室を飛び出して他職種と協働する機会が増えています。ICT(感染対策チーム)の一員として医師や専任看護師と院内感染防止に取り組んだり、NST(栄養サポートチーム)に加わって患者さんの栄養状態の把握に協力したりと、チーム医療の中核として多職種と連携しながら働くのが、現在の臨床検査技師のリアルな姿です。
-これから医療現場を目指す就活生にとって、入職後の教育体制は非常に気になるところだと思います。検査科の育成方針について教えてください。
ひと昔前は、自分の狭い専門領域だけに特化して仕事をする時代もありました。しかし現在は、配属先で専門性を深く追求すると同時に、他部門の経験も積めるよう、ジェネラリストとスペシャリストのバランスに配慮した育成を行っています。
-具体的にはどのようなサポート体制が整っているのでしょうか。
新人には「メンター制度」を導入し、日常の些細なことでも相談できる身近な先輩がしっかりと伴走します。さらに、そのメンターを支える上位者も配置し、「二重のサポート体制」を敷いています。誰もが不安なく、安心して学べる仕組みを整えていますので、若手の方にはのびのびと成長してほしいですね。
-最後に、当院の臨床検査科ならではの「強み」について、就活生へ向けてメッセージをお願いします。
当院の強みは、大きく分けて3つあります。 第一に、「学びの機会が豊富」であること。学会への参加や発表、論文執筆など学術活動が活発で、高度な専門資格の取得も組織全体で強力にバックアップしています。 第二に、「医師との距離が近く、スピード感がある」こと。医師と一緒に顕微鏡を覗き込んでディスカッションをするなど、大病院では難しい「即時のコミュニケーション」が可能です。自分の出した結果がスピーディーに治療へ反映されるため、大きなやりがいを感じられるはずです。 そして第三に、「多職種と気軽に相談できる環境」であること。チーム医療を肌で実感できる、まさに「丁度良い規模感」の総合病院です。

- お話を伺って、臨床検査技師という仕事のダイナミックさと、当院の恵まれた環境がとてもよく伝わってきました。
我々が日々行っている自己研鑽や資格取得は、最終的に「すべて患者さんの利益」につながると確信しています。「学びながら成長したい」「多職種と連携して命を救いたい」「検査のプロとして腕を磨きたい」——そんな高い志を持つ方にとって、当院は飛躍的に成長できる環境であると自負しています。より良い医療を、私たちと共に支え、創り上げていく。そんな情熱を持った方々とお会いできることを、心から楽しみにしています。

