「中庭展示―Court installation―」は、当館の中庭スペースにおいて、その空間を活用した作品を紹介するシリーズ企画です。第11回目となる今回は、美術家・大森記詩のインスタレーションを紹介します。
一貫して金属鋼材の有り様に着目しながら、「断片」を想起させる彫刻を制作してきた大森は、平行して自身が幼少期より傾倒してきたプラスティック・モデルという既製品を素材としつつ、その「断片」を複合的に組み合わせ、集積することによりフォルムを構築するシリーズ「Training Day」を手がけています。同シリーズのタイトルは、「断片を組み合わせ、形で形を作る、形を選び配置する訓練(トレーニング)」という発想に基づくものですが、その根幹には、実在、非実在を問わず多様なモチーフを、プラスティック樹脂へと均質化し、断片化を続ける「プラモデル」というプロダクト自体の特性への関心があるといいます。また、プラモデルのパーツを「架空の断片」として解釈する大森は、それらの「断片」を日常的にアサンブラージュしていく行為の中で、情報やイメージの氾濫により物事の表層については容易に認識することができても、その内実を顧みることなく消費し、忘れ去っていくという現実や、当事者性と必然性の希薄な現代社会において自身はどのような制作をすることができるのかという思索を続けています。現代人の潜在的欲望が投影されたかのような「断片」の組み合わせにより複雑な様相を呈する作品群は、現代社会の諸相について再考を促す契機となることでしょう。
◆展覧会情報
主催:苫小牧市美術博物館
会期:2018年5月5日〔土・祝〕-9月17日〔月・祝〕
開館時間:9:30-17:00 ※入場は16:30まで
休館日:月曜日 ※7/16、9/17は祝日開館
観覧料:
特別展会期中 一般 600(500)円/高校・大学生 400(300)円/中学生以下無料
特別展会期以外 一般 300(240)円/高校・大学生 200(140)円/中学生以下無料
※ ( )内は10名以上の団体料金
※ 免除規定がありますのでお問合せください
※ 特別展会期中以外は、年間観覧券でもご覧いただけます
※ 5月5日〔土・祝〕は無料観覧日です
(13.34 MB)
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◆関連イベント
大森記詩ワークショップ
「形で形を作ってみようープラモデルパーツのアサンブラージュ」
協 力:株式会社ハセガワ
期 日:2018年5月5日[土・祝]
①10:30~12:00
②14:30~16:00
定 員:各回 一般15名(小学3年生以上)
参加料:無料
申 込:4/24[火]~ 電話受付(℡0144-35-2550)
チラシは
こちら(4.23 MB)
◆作家プロフィール
大森記詩(おおもり・きし/美術家)
1990年東京都生まれ。2013年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。2015年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。2018年同大学院博士課程修了。現在、同大学助手。主な参加展覧会に「Art and Air―空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語」(苫小牧市美術博物館/2016年)、「ラブラブショー2」(青森県立美術館/2017年)などがある。
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