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「中庭展示-Court Installation-」は、当館の中庭スペースにおいて、その空間を活用した作品を個展形式により紹介するシリーズ企画です。第7回目となる今回は、特別展「Art and Air ~空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語」の連動企画として、美術家・岡本光博のインスタレーションを紹介します。ロゴやキャラクター、シンボルや記号、言葉などに着想を得て、その多義性や魅力を援用・検証する岡本の作風は、芸術そのものの意味や現代社会のあり方を問い直す試みとして、近年、高い注目を集めています。
昨夏、青森県立美術館の前庭に“墜落”し話題となった《UFO-unidentified falling object-(未確認墜落物体)》。同作において岡本は、インスタント・フードという身近なモチーフを、子どもの頃にTV番組を通して好奇心を掻き立てられたという“U.F.O.(未確認飛行物体)”に見立て、鏡像のように反転させたうえで巨大化し、さらにそれを、あたかも墜落したかのように地表に突き刺すという、不条理さとユニークさとが混在するイメージを提示しました。本展で紹介する作品は、“UFO(未確認墜落物体)”の“after”、すなわち“その後”と“食後”をかけた言葉遊びに基づくフィクションを根底とするもので、何者かによって回収されたのちに食され、変容したその姿が公開されます。
大衆文化の視覚表象を引用するポップ・アートの手法を踏襲する岡本の表現は、原体験や言葉遊びにからめた発想を源泉とするコンセプチュアルなものであり、そのイメージの持つ多義性は、見る者にさまざまな思考を促す契機となることでしょう。この機会に、岡本の先鋭的な作品世界に触れていただければ幸いです。
展覧会情報
主催:苫小牧市美術博物館 / 企画協力:eitoeiko
会期:2016年4月23日(土)-9月4日(日)
開館時間:9:30-17:00 ※入場は16:30まで
休館日:月曜日 ※ただし、7/18(月・祝)は開館し、その翌日が休館
観覧料:
① 企画展「砂田友治」開催期間 【4月29日(金・祝)-6月26日(日)】:
一般 300(240)円 高校・大学生 200(140)円
② 特別展「Art and Air」開催期間 【7月9日(土)-9月4日(日)】:
一般 600(500)円 高校・大学生 400(300)円
③ 常設展のみ開催期間:
一般 300(240)円 高校・大学生 200(140)円
※ ( )内は10名以上の団体料金
※小中学生以下はいずれの期間も無料
※ 免除規定がありますのでお問合せください
※ ②の特別展期間以外は、年間観覧券でもご覧いただけます
※ 常設展及び同時期開催の特別展・企画展も併せて観覧できます
※ 5月5日(木・祝)は無料観覧日
関連イベント
アーティスト・トーク+α
岡本光博が自作の紹介を交えながら、美術の魅力についてお話しします。「+α」もお楽しみに!
日時:2016年4月23日(土) 14:00-15:30
場所:苫小牧市美術博物館 研修室A
参加料:無料
申込受付:苫小牧市美術博物館(℡0144-35-2550) ※当日受付も可能
作家プロフィール
岡本光博 OKAMOTO Mitsuhiro
1968 京都市生まれ
1994 滋賀大学大学院教育学修了
1994~1996 The Art Students League of New Yorkに在籍
1997~1999 CCA北九州にて研究、制作
2012~ 京都市内にギャラリー「KUNST ARZT」を主宰
2000 「アートで学ぼう アートを遊ぼう」 広島市現代美術館 /広島
2001 個展「OM」 Sanskriti Kendra /ニューデリー、インド
2003 個展「Schwarzer Regen」 Prima Kunst /キール、 ドイツ
2004 個展「Euro Ring Project」 LaCosa /バルセロナ、スペイン
「コピーの時代」 滋賀県立近代美術館
2006 「縄文と現代」 青森県立美術館
2007 「Thermocline of Art-Asian new waves」 ZKM現代美術館 /ドイツ
「美術のボケ」 CASO /大阪
2008 「Just Love Me」 the Royal T ART SPACE /LA、アメリカ
2009 「Strange World」 Blackburn Museum & Art Gallery /UK
2010 「ファッション綺譚」 神戸ファッション美術館
2012 「美術なコンビニ」 KUNST ARZT /京都
2013 「福岡現代美術クロニクル」 福岡市美術館、福岡県立美術館
「対話の庭」 NO-MA /滋賀
2014 個展「マックロポップ」 eitoeiko /東京
「美少女の美術史」 青森県立美術館、静岡県立美術館、島根県立石見美術館
「モノグラム美術」 KUNST ARZT /京都、space2*3 /東京
2015 「化け物」 青森県立美術館
「ディズニー美術」 KUNST ARZT /京都
「岐阜おおがきビエンナーレ 2015」 ソピアホール
「うつわ(器)とうつし(写)」 パリ日本文化会館、京都芸術センター