「中庭展示―Court Installation」は、当館の中庭展示スペースにおいて、その空間を活用したインスタレーション(架設芸術)を紹介するシリーズ企画です。第19回目となる今回は、大島慶太郎(1977~ )の新作インスタレーションを紹介します。
「MONOGRAMS」(※)と銘打つ本展は、マルチモニタによる映像と、それに付随した物質や素材、音などの組み合わせによって構成されるものであり、断片的な映像や画像、物質的なイメージが交差する空間となります。中庭空間の内部では、「見ること」自体や、写真そのもののあり方を暗示する「窓」をモチーフとするオブジェが配置されます。
一方、その回廊等においては、同じく「見ること」を象徴する、はく製の「眼」を軸に動物が切り替わる動画、苫小牧という場所を示唆する「煙」の映像や、コロナ禍によって抑制されていた「旅」を暗示する野生動物との邂逅、そして、中庭の窓から差し込む「光」の透過を援用した作品など、過去と現在、人工と自然、内と外、虚と実といった、断片的な映像や画像の組み合わせによるロードムービー的な映像世界が展開します。
※「MONOGRAMS」
「組合せ文字」や「記号」という意味を有する「MONOGRAM」の複数形。大島によると、その言葉を選んだ理由として、まず、美術と博物の2つの領域で対をなす当館の特徴が背景にあったという。当館の活動や所蔵資料なども映像の「マテリアル=素材・原料・物質」として導入される本展では、断片的な映像や画像、そして毛皮など実物の素材といった組み合わせが展示空間に挿入されることとなる。
開催概要
会 期:2023年4月29日(土・祝)〜11月19日(日)
休 館 日:月曜日 *月曜祝日の場合、その翌平日
開館時間:9:30〜17:00 *最終入場は閉館の30分前
会 場:苫小牧市美術博物館 中庭展示スペース(北海道苫小牧市末広町3丁目9番7号)
観 覧 料:
①[4/29〜7/14, 9/4〜9/22] 一般300(240)円/高大生200(140)円/中学生以下無料
②[7/15〜9/3] 一般600(500)円/高大生400 (300)円/中学生以下無料
③[9/23〜11/19] 無料
* ( )内は10名以上の団体料金(②の期間は団体及び前売券の料金)
* 観覧料の免除規定についてはお問い合わせください。
* 常設展示および同時期開催の特別展・企画展・特集展示もあわせてご覧いただけます。
* 年間観覧券でもご覧いただけます。
ただし、②の期間は割引額(一般300円、高大生200円)でのご観覧となります。
* 5月5日、11月3日は無料観覧日
関連イベント
公開制作
中庭回廊のガラス面への作品の追加など、変遷する展示の様子をご覧いただけます。
4/29(土)、4/30(日)、5/3(水)、5/4(木)、5/11(木)、5/12(金)、5/13(土)、5/18(木)、5/19(金)、5/20(土) 10:00-17:00
※上記日程の中でも、作家の館外撮影等のため、不在となる場合がございます。
パフォーマンス
当館の夜間開館にあわせて、映像作家・大島慶太郎と音響作家・中坪淳彦による映像と音のコラボレーションをお楽しみただきます。
2023年7月29日(土)※ 予定
※イベントの詳細、作家の在館情報などの最新情報については、随時、当館公式HP及びSNSにて公開予定です。そちらをご確認いただくか、直接お問合せ下さい。
作家プロフィール
◉ 大島慶太郎 OHSIMA Keitaro
1977年釧路市生まれ。札幌市在住。幼年期を胆振管内の伊達市で過ごす。2004年北海道教育大学大学院修了。2012-13年ケルンメディア芸術大学(ドイツ)特別研究員。『動画構造の解体と再構築』をテーマとして映像作品の制作及び表現研究に取り組む。近年は古写真や絵葉書をはじめとする学術資料など、既存のイメージを素材として扱いながら実験的な映像作品を制作。現在、北海道情報大学情報メディア学部准教授。
参考作品
再生している、或いは…(2020)
Travel Play(2019)
庭園学ガラス乾板映像展示(2018)
同時期開催
企画展「美術所蔵名品選:風景画×静物画編」
会期:2023年4月29日(土・祝)~6月25日(日)
会場:第1・2・3企画展示室