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青年海外協力隊~協力隊員の声~(平成22年内海さん 46)

平成22年度2次隊 ケニア 養護 内海智博さん

46. 「マランダ養護学校をふりかえる」

 「トモヒロ、日本へ帰るのは9月の何日だ?」なんて聞かれるようにもなりました。マランダ生活も終わりが近づいているようです。ということで、これまでここで思ったことを書く。学校編!

マランダ生活も終わりが近づいているようです。

 今更ですが、この学校はメンタリーハンディキャップ、知的障害の養護学校なんです。なのに、たいして囲いも無く脱走し放題だし、大きな石ころや、木や鉄の棒等、凶器がそこら中に転がっているし、台所周辺では一日中薪で火がついていて、子どもら眺めているし、校舎敷地内どこでも自由に移動できるし、夜は毎日のように停電で真っ暗になっている時間もあります。(それでも灯り無しで歩く彼らは凄い)この超がつくほど自由な環境で、100名の生徒を11名のスタッフ(そのうち3名警備員職、2名は元生徒)で交代しながら毎日24時間支援しています。実際は常時3名程でしょうか。毎日、〇〇ちゃんが学校から出て行っちゃったとか、草刈り用の刀で自分のおでこ切ったとか、石で叩かれて流血したとかなんやかんや騒いでいます。しかし!それでも、ここ2年で取り返しのつかないような、大きな事故といえるものはありません。不思議でなりません。もし、日本人のスタッフと生徒らでこの環境に放り込まれたら、おそらくすぐ生死に関わるような重大事故が起きるのではないかと思います。
 日本の養護学校や福祉施設からすれば、ここは最低な環境だと思います。ただ、もしもここで問題なく、皆が過ごせるとすれば、最高の環境なのではないか?と感じる自分がいます。だって、日本の養護学校や福祉施設の安全な環境って、悪く言ってしまえば、鍵のかかる部屋や、高いフェンスや壁、マンツーマンでの体制のような形で成り立っているとも言えます。毎日、何も物のない部屋で過ごしている方もたくさんいるでしょう。ここなら広い敷地内、自由な場所でそれぞれ過ごせるわけですから。
 
なぜ、この環境で全寮制養護学校が成り立っているのか?

 なぜ、この環境で全寮制養護学校が成り立っているのか?そう考えると、一見、超のんびりしているように見える、この学校のスタッフ、また教師の指導力は、日本人を遙かに凌駕しているのではと思えてきます…。まず感心するのは、大勢の生徒を相手にしているにも関わらず、スタッフ・教師が慌てているところを見たことがありません。本当に悪いことをした子には、周りの子らにここに連れて来い!って言って連れてこさせ、お尻を木の枝でバシッ!ってやって終わりです。
 慌てなくても済むのは、彼らの、日本人には到底理解できぬ程の寛大な性格以外にも、毎日「必ずやらなければならない」ことが少ない点も大きいと思います。全ての時間が流動的です。突然農作業、薪運びとか。ご飯の時間も毎回1~2時間の幅があります。
 最初少し不思議に思ったのは、それでパニックになるような子がいないですね。日本の養護学校なんかでは、余計なスケジュール変更しないことは鉄則なはずです。見通しを持たせるために、朝の会で写真カード等を使って一日の流れを確認したりします。私自身も納得していました。ここケニアでの仕事も、そういう教材作りがあるかなと思っていました。しかし、実際来てみると、そういう支援の必要性はあまり感じませんでした。そもそもここでは、自閉症のような子らの困った感が少ないように見えます。他にも例えば、手をポリポリむしったりするような、自傷をする子がいません。たまたま、ここにいないだけかもしれないですが、おそらくケニア全体でも少ないのではないかと思います。なぜかと考えると、スケジュールの他にも、ケニアは基本皆、屋外で生活しているため、汚れに寛大であったり、どこにでも家畜がいることもあり、トイレに関してもそんなにうるさく言われないこと等、ここのライフスタイルが、知的障害を持つ子らにとって、日本よりもストレスの要因が少ないのではないかと思います。逆に潔癖な子だったら…とも考えましたが、ここで見ているとあまりいなく、潔癖って、後天的な要因も大きい気がしました。
 日本での特別支援教育って、障害を持つ子らに、配慮しているようで実は、障害の有無に関わらず「必ずやらなければならない」ことの多すぎる特殊な日本社会へ配慮「させる」ための教育手法みたいな見方が、ここ、ケニア・マランダからはできてしまう気がします。(先進国に住むのも楽ではない…?)  

実際にここで私の受けた印象は、想像と全く違うものでした

 また、周りの隊員さんからケニアの学校は体罰が酷いと聞いていて、最初は覚悟していました。しかし、実際にここで私の受けた印象は、想像と全く違うものでした。もちろん、私も日本で育ったし、日本で教員免許まで取得したわけで、体罰なんてとんでもないと思っています。しかし、ここでは、毎日危険がいっぱい。もし、生徒がそこら辺の大きな石で小さい子を殴ったとしたら、生死に関わります。そういった取り返しのつかない事故を防ぐ上で、木の枝が有効に作用しているように思えてなりません。話の理解度が高い子なら別かもしれませんが、永遠にぐだぐだよくわからない説教をされるよりも、正直、分かりやすいのではないか?また、これで、生徒らをどこかに閉じ込めたりしないで、自由に過ごさせる事が成り立つのであれば、悪いことに思えない、自分でビックリの自分がいます。だって、ここの子ら、本当に活き活きしているように見えるし、子どもらスタッフのこと好きだし、スタッフらも子どもらを愛しているのが伝わってくるんだもの…。私の知る教育は、全然、体罰を超えていない…?
 日本の学校でも体罰の問題はよく言われていることだと思います。ここに来るまでは、ただ「絶対ダメ。ありえない。」と感じるばかりで、深く考えていなかったのですが、ちょっと違う視点を得ました。
 重ねて!体罰はいけません!が、その意味を。そしてまた、本当に良い環境、良い支援者とはどういうことなのか、日本では、想像すらしない視点から、考えさせられました。

助け合いの環境

 そんなスタッフ指導のもと、生徒が生徒の面倒を見る。助け合いの精神が当然のように存在していることにも驚きました。(それがなければ確実に学校が崩壊するのですが…)朝4時から、子どもらは、自分達で、水を運んで、自分で体を洗えない子らを洗い、おねしょ勢のマットレスを外に出し、寮を掃除し、食器を運び、薪割りをし、畑を耕し、毎日を過ごしています。障害の軽い生徒が当然のように障害の重く、助けが必要な生徒の世話をする。日本でもそういう助け合いの環境が理想だと思う人が大半なのでないでしょうか。ここには現実にその環境があります。誰もそんなつもりはないのだけれど、皆が絶妙に歯車のように噛み合って学校生活を送ることが出来ています。他のことは一切手伝わないけど、皆の服の洗濯はかかさずやる子だとか、寡黙でボサッとしている子だと思っていたら、一日中調理小屋の水タンクをうかがっていて、(気になってしょうがない)減ってくると黙々と水を運び続けている子だとか。  

仕事のない日中の暑い時間帯の休み方

 仕事のない日中の暑い時間帯の休み方も、見ているとおもしろいですね。みんなそれぞれ好みの場所を持っていて(最近はいつもと違う行動をしている子に気づけるようになった。なぜお前がここにいる?!体調悪いのでは?とか)、木の下でごろごろ昼寝したり、ラジオ聞いたり、テレビ眺めたり、謎のサインで友達と会話したりして、夕方ご飯準備の時間になるとまたガチャガチャ動き出す…。
 常時誰かに面倒を見てもらえるわけではない、こういう環境で育ってきているからか、生活能力の高さにも本当に驚かされます。みんな上手にご飯食べるし、動きの少ないように見える子も、刻一刻と変わっていく日陰と、風の流れに沿って寝る場所をうまく移動しているし、歩行が苦手な子が芝に座ったまま上手に服を濡らさないようにおしっこしているし。片手片足不自由でも、誰よりも力持ち、木だって登る!教師をやっている私が言うのもなんですが、たいして、教えられているわけでもないはずなんですよ。まさに生きる力?それを見て、まだ、イタズラばかりのちびっ子らも、そのうち覚えるんでしょう。環境で違ってくるのは当然かもしれませんが、ここも衝撃を受けたことのひとつです。

ご飯の時間

 見慣れてしまっていますが、ご飯の時間に、すんなりホールに集合できることからして、日本ではありえない気がします。まぁでも、来ないと本当に貰えない可能性が出てくるからな。

衛生面と、医療的な部分

 もし、日本で育ってしまったら、何時にどこへ行けとか、服汚すなとか、トイレ行けとか、ストレス溜まりすぎて、おそらく今より不幸なのではないかと思える子がたくさんいますが、もちろんその逆に感じる場面も多くあります。特に、衛生面と、医療的な部分。金銭的なこともあり、毎日同じ物を食べています。そして、てんかん発作。非常に大きな発作を持っている子が何人もいて、かわいそうです。毎日あちらこちらで倒れています。発作を起こしたら、周りの子らも分かっていて、頭を打ちつけないように、芝の上に転がされます。あとは放っておけば、そのうち起き上がるだろ~って感じでしょうか。硬直やけいれんの、度合いも長さも、見ていて辛いですね。一応病院で、一般的な抗てんかん薬をもらっている子が多いのですが、一律カプセルで、調整もなく、薬が合っていないと思われる子がたくさんです。そもそも薬を泥水で飲むくらいです。衛生・医療面で、日本だったらもっと楽に過ごせるだろうなと思える子がたくさんいます。

なんやかんや2年近く過ごしてしまったわけです。

 という感じで、私はここでなんとも言いがたいマランダ養護学校に出会い、しかもなんやかんや2年近く過ごしてしまったわけです。
 ここに来て仕事をする上で、まず思ったことは、途中触れましたが、日本でやるような、授業の必要性をあまり感じなかったことです。すでに生活の中にそれがある気がしました。よって、私の仕事はより自由な方向へ、自分の行きたい方向へ突き進むこととなりました。次回は活動編で!

そもそも誰よりもハンディキャップを抱えているのは、いつまで経ってもルオ語を覚えない自分だっていう話です

 まぁ、ただ…、良いこと言おうとしたところで所詮、自分なんて、ただでかいだけの外人生徒。そもそも誰よりもハンディキャップを抱えているのは、いつまで経ってもルオ語を覚えない自分だっていう話です。(笑)

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総合政策部政策推進室市民自治推進課
電話:市民自治担当:0144-32-6156、国際交流担当:0144-32-6157、広聴担当:0144-32-6152
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