建築士と設計・工事監理
建築士法では、建築物の安全性などの質の向上を図るために、設計・工事監理を行う技術者の資格が定められています。建築士には1級建築士、2級建築士、木造建築士の3種
類あり、建築物の規模、用途、構造に応じて、それぞれ設計・工事監理を行うことができる
建築物が定められています。建築基準法においても、建築士法に違反して設計された建築
物についての確認申請書の受理や工事の施工を禁止しています。また、一定規模以上の構
造設計、設備設計に関してはそれぞれ構造設計1級建築士、設備設計1級建築士による設
計への関与が義務づけられています。
設計とは
「設計」とは設計図書を作成することとされています。設計図書とは建築工事実施のために必要な図面と仕様書のことです。この設計図書が適切に作成されていなければ、その
設計図書に基づいて行われる工事監理業務に支障が生じることとなります。
安心で安全な建築物を建てるためには、建築士に設計を依頼し、適切な設計図書を作成し
てもらうことが必要といえます。
工事監理とは
「工事監理」とは工事を設計図書と照合し、工事が設計図書のとおりに実施されているかどうかを確認することです。 この工事監理は、建築物の安全性等を確保するためには確
実に実施されなければなりません。そこで、建築基準法では工事監理者を定めなければな
らないと定められています。中間検査や完了検査の申請の際には申請書の中に工事監理の
状況の報告を記載しなければならないこととなっています。したがって、建築士に工事監
理を依頼し、その内容を報告してもらう必要があります。
■工事監理の標準的な業務内容
- ・設計意図を施工者に正確に伝えるための業務
- ・施工図等を設計図書に照らして検討、承諾する業務
- ・工事が設計図書のとおりであることの確認をする業務
- ・工事監理報告書、関係図書の建築主への提出
国土交通省・日本建築行政会議 平成28年度版建築基準法・建築士法パンフレット引用