「九谷赤絵」とは、九谷焼の様式のなかで、赤と金の細密描写を特徴とする華やぎあるものです。赤絵の技法は、中国の宋赤絵を起源とし、江戸時代に日本に伝わりました。九谷焼における赤絵は、江戸前期の古九谷を経て、現在の石川県加賀市に創業した再興九谷の宮本屋窯(1832~59/天保三~安政六)で大成したとされています。宮本屋窯の緻密な文様で絢爛豪華な赤絵作品は、やがて明治期に「ジャパンクタニ」として世界に名を馳せた輸出九谷の誕生や発展につながります。
宮本屋窯の赤絵は、黒みがかった赤(通称・血赤)で文様を細かく描きこんだ「赤絵細描」と、金彩に「赤以外の上絵釉」を用いたことが特徴として挙げられます。また、画題の一部に、中国・明時代の墨の文様集『方氏墨譜』からの着想がみられるなど、陶工の技量と教養が発揮された独自性ある表現が魅力です。とりわけ、主画工の飯田屋八郎右衛門(1801~48/享和元~嘉永元)は赤絵細描に優れた手腕を発揮し、宮本屋窯は、別名「飯田屋窯」とも呼ばれています。
宮本屋窯の作品は、完成に多くの時間を要するため、現存数が非常に少なく、全国的に一堂に展示・紹介される機会はこれまで一度もありませんでした。本展では、石川県九谷焼美術館の協力のもと、貴重な宮本屋窯の画工・飯田屋八郎右衛門の作品を中心に、江戸後期の華やかな「九谷赤絵」の世界をご覧いただきます。
開催概要
会 期:2024年6月29日(土)~8月25日(日)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合開館、その翌平日が休館)
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30まで)
会 場:苫小牧市美術博物館 第1~3企画展示室
観 覧 料:一般600(500)円、高大生400円(300)円、小中学生以下無料
※( )内は前売り券および10名以上の団体料金
※年間観覧券ご提示で、一般300円、高大生200円でご入場できます。
※免除申請についてはお問い合わせください。
※併せて中庭展示、常設展示もご覧いただけます。
主 催:苫小牧市美術博物館、九谷赤絵全国巡回展開催実行委員会
後 援:苫小牧商工会議所、苫小牧信用金庫、北海道新聞社、株式会社苫小牧民報社
前売券好評発売中!(~6/28)
販売場所:苫小牧市美術博物館(苫小牧市末広町3丁目9-7)
土日祝限定 関連グッズの販売
苫小牧市美術館友の会による関連グッズの販売ブースを設けます。
展覧会公式図録(数量限定)については、土・日・祝日に限らず会期中受付にて販売いたします。
関連イベント
サンセットトーク「東アジアにおける宮本屋窯の赤絵の位置」
(10.04 MB)
講師:東京国立博物館特任研究員 今井敦氏(本展監修者)
日時:8月24日(土)18:00~19:00
定員:60名
会場:当館研修室
申込:6月28日(金)9:30から電話(0144-25-2550)または当館受付にて
料金:無料(展示室への入場はありません)
ギャラリーツアー
当館学芸員が展示会場をご案内します。
日時:8月3日(土)、10日(土)各日11:00~約30分
会場:展示室
申込:不要
※観覧券が必要です。
夜間開館
20:00まで開館時間を延長します。
日程:7月27日(土)、8月20日(火)~25日(日)
美術博物館祭2024 アーティスト招聘プログラム
(90.60 MB)
現役の九谷焼作家で、世界的にも評価の高い福島武山氏を招聘し、
絵付けの体験と実演を行います。
子ども絵付け体験(定員に達しました)
日 時:7月27日(土)10:00~12:00
定 員:20名(小中学生限定、先着順)
参加料:300円
申 込:7月17日(水)9:30から電話(0144-35-2550)にて
※絵付け後に焼成し、お渡しは後日になります。
絵付け実演会
日時:7月28日(日)
10:00~12:00(準備、休憩時間を含みます)
場所:当館ラウンジ
申込:不要、参加無料
同時期開催
中庭展示Vol.20 西田卓司「lost treasure」
会期:2024年4月27日(土)~11月24日(日)
会場:中庭展示スペース