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泌尿器科の扱う病気(2)

2.腫瘍性病変

膀胱癌

膀胱に発生する腫瘍は、その大多数が粘膜層を形成する移行上皮由来の移行上皮癌です。膀胱移行上皮癌は男女比=3~4:1と男性に多くみられます。臨床症状としては、無症候性(痛みなどが無い)の肉眼的血尿であることがあります。高齢者では、前立腺肥大症による出血も考えられますが、尿路上皮の腫瘍の有無は確認する必要があります。また、上皮内癌の場合は、下腹部の不快感や排尿時痛、頻尿など膀胱炎や前立腺炎に似た症状を呈し、その症状が治療しているにもかかわらず長期に続くときや、顕微鏡的血尿が持続するときは膀胱上皮内癌の可能性もあります。
検査方法ですが、一般検尿で血尿の頻度が高く、尿細胞診で悪性細胞の出現をみて、膀胱鏡検査で腔内の隆起性病変を確認します。また、尿路造影やCTなどで、膀胱壁の状態や骨盤腔内を確認します。
その後、経尿道的内視鏡手術にて切除します。浅い腫瘍については、内視鏡的に完全切除が可能な場合が多く、積極的に切除しますが再発しやすいことも多く、術後膀胱内注入療法にて再発防止をします。深達度が深い腫瘍は、内視鏡的では根治できないため、膀胱を摘出する開腹手術を必要とすることもあります。また、抗癌剤や放射線療法を併用し、腫瘍を縮小させ膀胱を摘出せず、温存できる場合もありますのでご相談ください。

前立腺癌

前立腺癌は欧米諸国の男性悪性腫瘍の中で最も頻度の高いもののひとつで男性癌死亡原因の約20%を占めます。日本では、まだ癌死亡の部位別順位では10位前後でありますが、生活環境の変化や腫瘍マーカーのPSAの導入に伴ってその頻度は急増しています。病因は、年齢とともに微小な前立腺癌の発生率が上昇していることから、潜在癌から臨床癌への進展に内分泌因子や食事因子などが関与しているものと想定されています。また、遺伝的素因も関与していて、一親等(父親や兄弟)に前立腺癌患者がいた場合、全くいない場合に比べて、癌になる確率は2倍であったという報告もあります。性ホルモンとのかかわりや、食事、特に動物性脂肪の過剰摂取は前立腺癌の危険因子とされます。そこで、50歳以上の方や排尿障害(尿の出方が悪い)の方は、腫瘍マーカーPSAを年1回は測定し、異常がないかどうか確認するべきであると考えます。針生検などで確定診断がつけば、次は病期(癌がどの程度の進行度合いか)を決定し、それに見合った治療をしていきます。
根治的前立腺摘除術は、骨盤のリンパ節を摘除し前立腺と精嚢腺を摘出する恥骨後式を採用しています。前立腺を摘出後、尿道から膀胱に20Frバルーンカテーテルを挿入し、膀胱と尿道を端端吻合します。吻合には、6針の吸収糸を用いて吻合し、バルーンカテーテルは術後10日前後で抜去しています。尿失禁はほとんど心配ありません。また、自己血を外来的に800ml採取し、手術時に使用しています。

腎細胞癌

腎癌は近位尿細管上皮に由来する腺癌で、初期には、まったく無症状に経過するため、発見時には大きい腫瘍であることが少なくなく、男女比は、2.2:1と男性に多くみられます。病因のひとつには、喫煙が関与し、喫煙者のほうが1.42~3.30倍と発生率が高い。
検査は、CTでまず大きさや場所の特定がなされます。確診がつかないときはMRIをとります。治療は、完全摘除が原則です。しかし、3~4cmまでの大きさで、場所がよければ、腫瘍に正常腎組織をつけて摘出する腎部分切除が可能です。当科では、部切し残した腎臓に今のところ再発はありません。最近では、腹腔鏡による腎腫瘍手術も行っています。それ以外、腫瘍が大きい場合や、位置が治療困難な場合などは患側腎を周りの脂肪組織といっしょに摘出してしまいます。手術以外の治療法としては、α―インターフェロンやインターロイキン2などを注射します。

睾丸腫瘍

睾丸(精巣)腫瘍は、睾丸に発生する悪性腫瘍で、小児と青壮年に多く認められ、抗癌剤が効きやすく、たとえ、肺臓に転移があるような進行癌であっても適切な治療により救命治療しうる代表的な腫瘍です。まず、片側陰のう内容の腫大が、超音波などで実質性(肉のかたまり)腫瘍と判明すれば、睾丸の摘出手術(高位除睾術)をして、腫瘍の病理検査をします。仮に、腫瘍の疑いを否定しきれないときも、手術による確定診断をすることもあります。(術中に腫瘍でないと確信できればもちろん摘出せずに手術は終わります)
顕微鏡の病理診断を待っている間に、CTなどで肺や腹部リンパ節に転移がないかどうか検索します。転移がなければ、多くは、定期的に血液検査とCTをとりながら、外来的に経過観察していきます(Watch & See)。転移があれば、抗癌剤による化学療法へ進みます。化学療法後に残存病変があれば開腹して摘出し、生きている細胞がないかどうか、確認が必要な場合があります。

その他

泌尿器科系には、膀胱以外の尿路上皮腫瘍があり、腎盂癌、尿管癌などもあり、血尿が症状として出現しやすいです。その他では副腎や後腹膜の腫瘍や、陰茎癌、尿道癌もあります。小児では腎腫瘍や神経芽細胞腫もあります。
  1. 排尿機能障害…前立腺肥大症-神経因性膀胱-尿失禁
  2. 腫瘍性病変…膀胱癌-前立腺癌-腎細胞癌-睾丸腫瘍-その他
  3. 尿路結石…ESWLおよび内視鏡手術
  4. 腎臓疾患…腎実質病変-腎血管性病変-腎不全
  5. その他…尿路感染症-小児泌尿器科-その他

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